「想定外」という言葉の恐ろしさを痛感する日々です。こんなにわかりやすく詳細なテキストがあったんですね。もっともっと過去に学び、自らのできる「想定」の幅を広げたうえで、現在をしっかりと見つめながら、生きてゆかなければならないと切実に思います。昭和8年の津波においての県庁および県知事・警察・陸海軍・天皇・国会・民間等々の動きがサラリと描かれていますが、その素早さに驚きました。しかし今回の「東日本大震災」でも、さまざまな方々が迅速で適切な動きをされているのだろうと思いますし、報道などをみても、現地ではいろいろな備えがされていたのだなと実感します。これからも何が起こるかわかりませんが、過去に学び、現在流れてくる情報の正確性を見極め、そして自分の頭で考えて行動してゆかなければと思います。一日も早く、被災された方々に平穏が訪れますように。 三陸海岸大津波 (文春文庫) 関連情報
宮城県とセットで出ているが、この岩手版が貴重なのは、宮城版と同様の惨烈極まる津波の衝撃的なリアル映像の最後に、何といってもあの「釜石の奇跡(勿論、奇跡ではない)」が収録されている点だ。しかも生徒たち、教師の生々しい記憶とともに語られ、その生死を分けた判断のシビアに慄然とする。そして少年少女たちはきっぱりと言い切る。「これは奇跡ではない」と。「常に準備してきた、当たり前のことをしただけ」と。教師も言い切る。「これは奇跡ではない」と。「なぜなら、偶発的な要素は何もなかった。もう一度同じ津波が来ても、この子供達は必ず同じように逃げ、必ず全員が生き残るからだ」と。「釜石の奇跡」ともてはやす世間に、はっきりと「NO」を突きつける様が清清しい。この一点だけでも、この岩手版は「災害を生き抜く為に、子々孫々に伝え残すべき教訓」として買う価値がある。また、ラストの方では「被災前のふるさと」の映像、記憶が地元放送局ならではの細やかさで再現され、岩手の人々の故郷への思い、復旧への決意が伝わってくる。岩手放送が、その思い、決意を血を吐くような切実さと綴った紛れもない「不朽の傑作」。これで1,890円はありえない安さである。その売上の一部は勿論、義捐金として寄付される。日本人ならば、万人が膝を正して生涯の記憶に刻み込むべき記録であろう。
3.11岩手・大津波の記録 〜2011東日本大震災〜 (
小説というよりも大震災の記録物語でもあると感じた。大震災に遭遇した人達の心のつながりをよく書き表している。 海よ、永遠に (3.11「東日本大震災」) 関連情報