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サイン盗み 大盗禅師 (文春文庫)

 慶安4年(1651年)の「由井正雪の乱」ともいわれる「慶安の変」を起こした由比正雪とその時代を描いた歴史物語です。そもそも、この1651年という江戸時代の初期については、あまり知識がないなか読むことになったのですが、この上なく面白く夢中になりあっという間に読み終わりました。そして、とても勉強になりました。 日本は、徳川秀忠、家光の支配体制確立に向けた時代であり、多くの大名が取りつぶしされていった時代、巷には多くの浪人たちがあふれ、社会問題となっている...この浪人たちをさらに、過酷な徳川幕府の政策が襲い不満が噴出寸前であるとともに、多くの武士達は平和に飼い慣らされていった時代でもある。そして大陸では、明朝が新興の清に滅ぼされようとしている。 大陸での明朝再興のための勢力と日本の新しい時代への変革にあぶれた人物たちが化学反応をおこし、時代の相互作用を起こしていく様を司馬遼太郎が緻密に組み立てて、由比正雪の乱に至る時代を日本だけでなく、大陸までスケールを広げて物語にしたのが、この「大盗禅師」である。幻術、妖術を駆使する大盗禅師、由比正雪、蘇一官など、史実の人物、そうであるかどうかよく分からない登場人物たち。徳川幕府の武断政治から、文治政治に転換していく時代の空気を表現しています。傑作でした。 大盗禅師 (文春文庫) 関連情報




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