さすらいのガンマンだったジュリアーノ・ジェンマが小さな土地を買い牧場を営むことにする。そして知り合いから1頭3ドルで牛の群れを買うのだが、実はこの牛は他所の牧場主の所から盗まれたものだった。牧場主から牛泥棒扱いされたジェンマは拳銃で撃たれ、反射的に撃ち返して相手を殺してしまう。牧場主の妻がジェンマに賞金を出し、ジェンマは再び放浪の旅に出た。旅の最中に襲われた駅馬車を発見し、近くに全裸で炎天下に張り付けられた若い女性を見つける。彼女を助け、近くの町に連れて行くが、町の人々は彼女のことを好奇心丸出しで見物している。そして駅馬車強盗がジェンマに牛の群れを売った男と同一人物であることを知ったジェンマは悪党に立ち向かうことにするが、悪党の中には町の実力者の息子がいた…。クレイグ・ヒル主演の「さすらいの一匹狼」という作品があるが、そちらとは全く関係無い。そもそもこの本作の方が先に作られている。ホントにマカロニ・ウエスタンの邦題の付け方はいい加減だ(それがマカロニといえるのだが)。本作は何より、ジェンマの運動神経の良さが感じられる作品である。若い女性をからかった3人組の男を1カットで叩きのめすシーンなど実に素早い動きだ。演技自体は余り上手いとは思わないが、この運動神経と甘いマスクで、ジェンマはマカロニ界のスターとなった(他にフランコ・ネロ、アンソニー・ステファンなど)。ジェンマに掛けられた賞金や町の実力者、そして女性の口封じをしようとする悪党など様々な要素があるのだが、それらが今一つ上手く噛み合っていない。それでもマカロニ・ウエスタンの脚本としては整合性が取れている方だろう。ラストはドロドロした終わり方ではなく、スカッとした結末になっていて好感が持てる。多勢に無勢と知りながらもジェンマに味方する保安官や医師など、魅力的なキャストも嬉しい。 続・さすらいの一匹狼 [DVD] 関連情報
本書の帯には「富の格差」の次に来る「情報格差」を問う話題作!という一文があるが、一部の富裕層が実質的にメディアを支配することには多くの問題がありそうだ。そういった現在の状況を打開するための施策を本書では紹介している。まず最初に本書についての問題点を指摘しておきたい。1つ目の問題は邦題である。本書の原題をそのまま訳すと「メディアを救え」という意味になり邦題とは大きく異なり、また、内容もネット社会の問題点というよりも、メディアのあり方について論じているものであるということ。もう一つは、帯に「ピケティ氏激賞!」とあることだ。これの何が問題かというと本書の著者ジュリア・カジェはピケティの奥さんだということ。ピケティ自身は本書が優れているから推薦するのだと書いているが、もし本書の著者が妻でなければ推薦文を書いていたか疑問が残る。商業上は仕方がないのかも知れないが、この点は購入される前に知っておいてもらいたい。 なぜネット社会ほど権力の暴走を招くのか 関連情報
2004年に自らモーツァルト管弦楽団を組織して以来、アバドはここ数年間にモーツァルトのオーケストラル・ワークを集中的に録音しているが、このヴァイオリン協奏曲集は2007年にコンサート・マスターでもあるジュリアーノ・カルミニョーラをソロに迎えた録音からの抜粋盤で、2枚組のインテグラル盤もリリースされている。カルミニョーラは既に97年にイル・クァルテットーネとの弾き振りでこの曲集をリリースしているが、この新録音の方がテンポの設定が速めで、10年前の方がかえって落ち着いた古典的な優雅さを保っている。例えば第5番イ長調『トルコ風』の名高いテンポ・ディ・メヌエットでの目の覚めるようなダイナミックな対比が以前より一層徹底されている。こうした劇的な生命力に漲ったシュトゥルム・ウント・ドラング的な曲作りはカルミニョーラ自身がアバドに要求した意向のようだ。全曲ともピッチはやや低めのa'=430を採用している。カデンツァは彼の師になるフランコ・グッリの手になるもので、音楽的にも技巧的にもかなり充実した内容を持っている。またソロ・ヴィオラが加わるシンフォニア・コンチェルタンテでは若手の女流ヴィオラ奏者、ダニューシャ・ヴァスキエヴィチが起用されている。カルミニョーラの使用楽器はストラディヴァリウス(BAILLOT,1732年)で数年前にボローニャ貯蓄銀行財団から貸与された名器だ。彼は1951年生まれだから、この録音があった2007年は55歳の円熟期にあり、現在でもイタリアのヴァイオリニストの中では最も充実した演奏活動を行っている。彼のレパートリーはバロックから古典派にかけてが中心で、ピリオド奏法を駆使しためりはりのある表現と凝り過ぎないストレートなカンタービレ、それに名器ストラディの明るく艶やかな響きが特徴だ。一方アバドについてだが、このところ手兵モーツァルト管弦楽団との定期公演ライヴを次々とリリースしていて、しかもこの曲集でも聴かれるようにオーケストラにも徹底したピリオド奏法を課している。ヴィブラートを最小限に抑えた歯切れの良いリズム感や軽快なテンポの運び方は近年の彼の音楽観の変化とモーツァルトの作品に対する新しい解釈を試みているようで、老いて益々意欲的な活動が頼もしい。 モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番、第5番、協奏交響曲 関連情報
すごくスタンダードなダイエットの定説を唱えている本書。著者はアメリカ留学で太ってしまい、フランスに帰国した際に「じゃがいも袋みたいだな」という父親のコメントにショックを受けてダイエットを開始する、というものです。プロのトレーナーについてもらって健康的なダイエット。それは、ゆっくりと、理のないダイエットでした。例えば、「3週間の食べたモノを記録する」「料理は自分で作る 出来合は避ける」「季節に応じた食べ物を食べる」など。レコードダイエットに通じるものがあります。また、「『敵』を常備しない」この「敵」とは、高カロリーな食品ってわけじゃないんです。「飽き」です。同じものを同じように繰り返し食べていると、より多くの量を欲するようになると著者は指摘しているのですね。こうした実践的なダイエット法を紹介しつつ、どうしてフランス女性は太らないか、という話も盛り込まれています。例えば、フランスでは「食=芸術」の公式が成り立っていて、食事前の準備するのに時間をかける。そして食事中は食事だけに集中する。家族と談笑しながら。食事を味わい楽しみながら。そうすると、残るのは、満複感ではなく満足感なのだ。その喜びを知っているから食べすぎたり、食べて後悔したりしないのね。本書では、レシピも豊富で単ダイエット本というよりも、フランスの文化に触れている感覚です。フランス留学を考えているヒトにもおススメの一冊です。 French Women Don't Get Fat 関連情報
現物を確認せずに注文したのだが、届いてびっくり、かなりデカい。裏表紙にサイズが書いてあった。27.5×36cm。小さな壁掛けカレンダーくらいはある。さすが、原版がイギリスだけのことはある。この本、縦に開く。開いた縦の超ロングサイズ72cmを活かし、一杯一杯に人体の全身図が描かれている。白人サイズってこういうことかと改めて思った。さらに「めくりのしかけ」という絵の一部分がペロッとめくれる仕掛けが1ページ内に何箇所かあって、これで臓器などの部分の内部の構造がわかるように工夫されている。まるで「医学の飛び出す絵本や〜」。そして、この本、なんと「子供の教材」という位置づけ。だから、日本版の漢字にはすべてルビが振ってある。何故か懐かししさを感じる劇画タッチのリアルな絵が、昔の暗い理科室を思い出させてくれる。 人体絵本―めくってわかる からだのしくみ 関連情報