ここまで政治的な影響力の大きい記者というのは、過去類を見なかったのではないかと思う。語り口調が素晴らしく面白く、大部の本ではあるが読むことにまったくストレスはない。渡邉氏のユーモアや好人物ぶりは、球界の悪玉というイメージとは異なっている。もちろん絶大な権力を獲得したがゆえの傲慢さはあるものの、それほど私心は感じなかった。 渡邉恒雄回顧録 (中公文庫) 関連情報
賛否両論はあれど(恐らく、圧倒的に、否定的な人が多いと思いますが)、政界、言論界、新聞界、プロ野球界・・・におけるカリスマと位置付けらえるナベツネこと渡邊恒夫氏。そんな「メディア王」に、これまでも、幾多の「怪物」の著作をものにしてきた大下英治氏が迫った著作ということで、早速、手に取った次第です。結論からいうと、「メディア王」の関わった事件の裏側が、実名で暴かれ、下手なミステリーより、抜群に面白いのと同時に、ナベツネ氏に対する見方の変わる1冊でした。下手に、私が作文するよりは、本編の中から、特徴的な箇所を抜き書きした方が、より、ナベツネ氏の真実に迫れるかと思いますので、早速、抜き書きしてみたいと思います。〇政界における渡邊氏・大野(伴睦)さんは、渡邊氏の進言は、ためらいなく容れてました。影の助言者的存在でした。単なる新聞記者ではない、側近の1人、もっとも信頼されている1人でした・大野派には、あんまり政策マンはいなかったんだね。僕は、大野伴睦の原稿を代筆したよ・大野派には40人の代議士がいるわけですから、そいつを動かせるんだから・大野は引き受けた。「そうだな。よし、きみ(中曽根氏)を入閣させる」・大野は、池田勇人とあれだけケンカしておきながら、2人はパッと手を握り、派閥の力関係が逆転した。それは渡邊がやった、と言われている。渡邊は私にあっさりと認めた。「ああ、ぼくなんだ。それは簡単な話なんだ」・「午前10時で妥協してくれないか。会談時間は無制限でいいから」。激務の(佐藤栄作)総理大臣が時間は無制限などということはめったにない、渡邊は2つ返事で了解した・渡邊はいよいよ、中曽根を総理にと燃えたという・知っているのは中曽根と(田中)角さん、そして後藤田の3人だけだからね。ところが、読売の夕刊だけにスクープされた。その日の読売の夕刊の閣僚名簿は、ほとんど間違っていませんでしたよ。おそらく読売新聞論説委員長の渡邊が、中曽根に電話して前もって情報を掴んだんでしょう。だって、中曽根派の長老の桜内義雄すら知らなかったほどですからね・人情としては、(中曽根は)あれだけなりたがってたんだから、それはしてやりたいという気にはなる・私は民社党委員長の佐々木良作氏を訪ねて、「あなた中曽根自民党と連立政権を作りませんか」と持ち掛けた・読売新聞は、「安倍談話」になんとしても「侵略」を盛り込むことを訴えてきた。「安倍総理は、渡邊の圧力に屈した」と書くマスコミもあったほどである〇新聞記者としての渡邊氏・おそらく、世界中の特派員を探しても、渡邊のような仕事師はいないであろうという・(沖縄返還は)米国政府は核抜き・本土並みでいいんですよ・ぼくらのときは、会談をやっているときは、料亭の縁の下に入ったからね。張りこんだら離れねえと言う、いまのデカのやるようなことをやったですよ・要するに、言論の椅子。それが僕の最高の野望であった・社長なんてものは、なってごらんなさい、あんなつまらないものはないから・氏家は、新聞記者じゃないよ。あれは、経営者だ。あいつは、原稿はうまくないしさ・これだけは、だれにもいってる。社長にだけは、絶対にならない。だって、記者職としては最高なんですよ、ぼくは。これ以上の権力は邪魔になるだけだ。これ以上の権力を持ったら、お金の計算をしなきゃなくなるしね・いま、ぼくは論説だけ考えればいいんでしょう。記者としては最高ですよ。論説以上に、お金のバランスシートを考えなければならなくなったら、記者としては堕落だね・調べつくした建白者を中曽根さんにもっていって、「死んだふり、寝たふりをしなきゃだめですよ」と言ったんだ・その宴席の帰り際、野中(広務)さんが私の前で両手をついて「よろしくお願いします」と頭を下げた・僕は死ぬまで主筆だと言っている。わかりやすく言うと、社論を決めるということ。読売では僕が主筆なんだ。僕は社長をやめても、主筆だけは放さない・終戦後から今日まで、なんといっても朝日新聞がオピニオンリーダーとして日本に左翼的で空疎な観念論をまき散らしてきたと思う。これによって、日本は、相当な被害を受けた。これをひっくり返すのが、読売新聞の使命だ。僕はそう信じている・そのために僕は社論決定に責任を持ち、その時、その時の情勢に応じて展開していかなくてはならない。朝日の空疎な観念論を完全にひっくり返すまでは僕は主筆を辞められないんだよ。僕以外に誰ができる、そういう信念なんだ〇言論界における渡邊氏・社説では大いに論争しようじゃないかと朝日新聞の幹部とも話している。言論の自由など、守るべきことは断固協力するが、社論では大いに論じ合って、読者が両方読んで判断する、というのが一番いい・だから、朝日の思想性は嫌いでも、変えてくれと言っているのではない・読売新聞社の社員は愛社精神が強い。そこは朝日新聞と違う。朝日新聞は、朝日というブランドが好きだが、会社の事は好きではないのである・渡邊は、生き残りを懸けた戦いを前にして、朝日新聞がいてこその読売新聞だと強調している。「朝日が頑張らなければ、困るのはむしろおれたちだ」・朝日新聞に追いつき追い越し、読売新聞を名実ともに一流の新聞にしたい。それが悲願だった〇読売新聞内における渡邊氏・自分で人事の図面を書いて、自分の息のかかった政治部長を使い邪魔者を追い出したわけです・渡邊は、憎き社会部のロッキード取材班のメンバーを、次々に本社社会部から外に飛ばしていった。「レーニンもアッと驚く社会部帝国主義の崩壊ぶりだな」と高笑いしたという伝説もあるほどだ・反体制的な、左翼的な偏向記事は、読売新聞には載らない。ただ、文化欄などに、外部の人の左翼的なものが載ることはある。そんなことは統制しようとは思わない。こんな馬鹿なことをいう奴がいるということも、紹介しておく必要はあるからね。それも報道上必要だろうしね〇野球界における渡邊氏・読売グループという巨大メディアを背景に、影響力のあるチームオーナーとして球界に君臨、コミッショナーの人事も決める人物と言われた・パは潰れてもいい。もともと8球団から10球団がいいんだ。8球団なら全部黒字になるし、10球団なら少し赤字が出る・渡邊の尺度は明確だ。人気、話題性、それが何より優先事項で、そのときそのときの判断で動くのである〇私生活における渡邊氏・外では、浮気をしては女性をいっぱい知っているようなそぶりをする渡邊だが、どう見ても妻一筋の恐妻家で、浮気など到底できないと言われていた・渡邊は、妻が愛しくてならないという・彼は、非常に努力して生きているんだなというのがわかった・あのひとは、学者になったほうが良かったな・今道との再会で、渡邊は、あらためて学問の大切さと、教養の大切さをこれまでよりもいっそう意識するようになった・渡邊には、未だに哲学青年のような純粋さが残っている・渡邊はけた外れの読書家だ。政界きっての知性派として知られた与謝野馨は「超インテリ」と評している。自身より「はるかに上」だという・渡邊恒雄の、その根っこをさぐると、89歳となった今も哲学者としての思索、人間にとって大事なものは何か、人間とはなにか、を自分に問い続けている私は、本書を読むまでは、渡邊氏を、「権力ありきの人」だと思ってきましました。但し、本書を読めばわかる通り、いわゆる「権力家」につきものの「金」や「女」の記述はありませんでした。戦争に駆り出され、「反軍部」を掲げる、東大時代の共産党員から出発したことからも伺えるように、渡邊氏の根っこは、「日本を、良く変えたい」、そのためには、「政治、人事、ライバルの朝日新聞等の権力でも使えるものは使う」という「言論人」にある気がしました。余りにも、低俗だったので、レビューしませんでしたが、プロ野球界を揺るがした「清武の乱」の真相を読むと、「真犯人は誰」で、「金に汚い奴は、本当は誰か」がよくわかりました。出来うれば、私は、もう一度、渡邊氏に、純粋哲学青年の面影を残す「1言論人」に立ち返って頂き、まだまだ懲りない「朝日新聞」を屈服させるまで、闘って頂きたいものだと思いました。皆さん、それぞれの、渡邊氏に対する賛否両論の読後評はあるかと思いますが、幾多の「怪物」を描いてきた著者が、「最後の怪物」と呼ぶ人物だけに、今の政治家なんて、ちっちゃく見える、抜群に面白い1冊でした。 専横のカリスマ 渡邉恒雄 関連情報
古い曲ですが、なかなか手に入れることもできないのできにいってます。 〈COLEZO!〉渡辺はま子 ベスト 関連情報
読売新聞社の代表取締役会長である渡邉恒雄氏に関する本を読んだ。 わたしの読後に抱いた感想は暗く、総じて絶望的だった。詳しく書くと以下の通り。 第一に、著者の魚住氏の執筆態度には好感を抱くことができた。本書の内容は多くの参考文献や関係者への粘り強いインタビューに依拠しているため、こうした本の著者にありがちな一方的思い込みによる決め付けは慎重に排除されていた。 第二に、本書の構成は合理的だった。この本は、ナベツネの幼いころから現在に至るまでを、一塊のテーマごとにまとめて古い順に取り上げている。ナベツネという人が、どういう経緯を経て作られてきたのかを本書を読むことで追体験することができた。 第三に、本書のテーマである渡邉恒雄という人に対しては、好感も反感も抱かなかった。権力志向の強い人というのは昔も今も一定の割合で存在するものであり、彼もその一人にすぎない。あまりに型どおりのタイプであることがむしろ痛快ですらあった。 第四に、権力の階段を昇るために渡邉恒雄という人が用いた手段には、正直言って恐れ入った。人間の理性には何ら働きかけず、もっぱら人の負の感情――猜疑心や嫉妬、恨み、妬み、恐怖心など――を巧みに操って自分の権力基盤を築くやり方には薄気味悪い気持ちになった。 第五に、こうした人が日本最大の新聞社の社長としておさまってしまう日本社会の現状に暗い思いを抱いた。権力に妄執する人をトップにいただく新聞社が、権力に対する健全な批判精神を保つことは不可能だ。批判のない社会は必ず腐敗する。 第六に、他人が自分に従順か否かを基準として味方と敵を区別するような小っぽけな人間が大会社の社長にまでのし上がってしまう日本社会の構造にがっかりした。 渡邉恒雄 メディアと権力 (講談社文庫) 関連情報
クリィミーマミ、マジカルエミ、ペルシャ、パステルユーミが一緒になっちゃいました!!力をあわせて宇宙怪獣をやっつけるぞ!?みんながそろっちゃってるのはおいしいですよね!ただ時間が短くて話が急展開すぎるのと脇役の人たちの声優さんが違うのはちょっと残念…。(主要人物はそのまま♪) クリィミーマミやマジカルエミは最近再放送も多いので新しいファンの方も楽しめるんじゃないでしょうか♪ 関連情報