丸井創業者商品

景気を仕掛けた男「丸井」創業者・青井忠治

現在でも、ユニークなビジネスモデルで、首都圏を中心に小売り事業を展開する丸井。元々は戦前の家具屋が出発点で、特需景気・高度成長期・オイルショック・バブルと崩壊などの荒波を経ても、利益をあげ続けている有料企業である。そんな丸井の創始者、青井忠治氏の伝記だが、培った先見の明と慧眼で零細企業をわずか十年足らずで、上場企業まで育てた点は、おそれいる。氏は経営者としては、格段に秀でた才能は無かったようにも思えるが、ポイントとなるのは随所で登場する妻　多津子さんだ。彼女は、夫が経営の判断に迷っている時に、控えめだが的確な助言で、主人公の肩を押し続ける、まさに「あげまん」。巻頭に、藍綬褒章受賞時の夫婦のスナップがあるが、多津子婦人の凛々しい顔立ちは、旦那より力強くも思える。強力な徒弟関係をベースに、順調に売り上げを拡大していったが、労働条件をめぐり、家族同然と感じていた社員が反旗を翻したのは、忠治にとっては想定外だったろうが、これも時代の流れ。少しずつだが、旧世代側に押しやられ、それと同時に長男の忠雄に経営を禅譲するくだりは感動的ですらある。戦前～戦後を、文字通り愚直に駆け抜けたモーレツな経営者。やたら効率や生産性が叫ばれる現代を生きる我々にとっては、溜飲が下がる一冊だ。景気を仕掛けた男「丸井」創業者・青井忠治関連情報

景気を仕掛けた男　「丸井」創業者・青井忠治 (幻冬舎単行本)

現在でも、ユニークなビジネスモデルで、首都圏を中心に小売り事業を展開する丸井。元々は戦前の家具屋が出発点で、特需景気・高度成長期・オイルショック・バブルと崩壊などの荒波を経ても、利益をあげ続けている有料企業である。そんな丸井の創始者、青井忠治氏の伝記だが、培った先見の明と慧眼で零細企業をわずか十年足らずで、上場企業まで育てた点は、おそれいる。氏は経営者としては、格段に秀でた才能は無かったようにも思えるが、ポイントとなるのは随所で登場する妻　多津子さんだ。彼女は、夫が経営の判断に迷っている時に、控えめだが的確な助言で、主人公の肩を押し続ける、まさに「あげまん」。巻頭に、藍綬褒章受賞時の夫婦のスナップがあるが、多津子婦人の凛々しい顔立ちは、旦那より力強くも思える。強力な徒弟関係をベースに、順調に売り上げを拡大していったが、労働条件をめぐり、家族同然と感じていた社員が反旗を翻したのは、忠治にとっては想定外だったろうが、これも時代の流れ。少しずつだが、旧世代側に押しやられ、それと同時に長男の忠雄に経営を禅譲するくだりは感動的ですらある。戦前～戦後を、文字通り愚直に駆け抜けたモーレツな経営者。やたら効率や生産性が叫ばれる現代を生きる我々にとっては、溜飲が下がる一冊だ。景気を仕掛けた男　「丸井」創業者・青井忠治 (幻冬舎単行本) 関連情報